DIC川村記念美術館について
兼ねてより気になっていた美術館の一つ、千葉県の佐倉という場所にあるDIC川村記念美術館に行ってきました。お目当ては、①美術館(建築物) ②企画展 、”芸術家たちの南仏” ③コレクション展
①DIC川村記念美術館(建築物)について
DIC川村記念美術館の建築は、絵心があり、壁面などの装飾を考えることが大好きだったというモダニズム建築家の海老原一郎氏に依頼したもので、海老原一郎氏は機能や合理性を超えて、建物全体の印象を包むことができる「装飾」を柔軟に取り入れたとの事です。
この美術館の存在を初めて知ったのは数年前、東京駅構内の看板でした。DICという社名が気になったことと印象的な建物に興味を惹かれ、行って見たいと思い所在地を確認しました。東京駅近辺にあるのかと思ったら千葉県の佐倉とあり、私の自宅からは少し遠いので中々出向けずにいました。今回行くにあたって、東京駅から60分程かかりましたが初めて行く美術館が楽しみで退屈を感じる暇はありませんでした。
佐倉駅に到着し美術館への無料送迎バス停に向かいます。駅前は高い建物が少なく、商業が盛んな印象はありませんでしたが、あちらこちらに彫刻などが設置してあり美術館が街を盛り立てている様子が伺えました。

20分程バスに揺られ、緑に囲まれた美術館に到着。私が訪れた日は天気にも恵まれたこともあり、整然とした美しさと、のどかな柔らかさが印象的な外観を綺麗に見ることができました。緑に囲まれ、庭園にスラリと立っている様子は西洋お城の低いバージョンのようにも見えます。美術館の周囲には散歩道などもある様で既に散策している人の姿もありました。
美術館の中に入るとエントランスホールの床や天井照明をはじめ、館内の随所で、海老原一郎氏のこだわりを目にすることができました。展示室もそれぞれのテーマでデザインされ廊下や休息室、サインも計算されていて、その想いに触れることができました。
1970年代、大日本インキ化学工業(現 DIC株式会社)の第二代社長・川村勝巳は、美術館建設の構想を持ち始めます。候補として世界的に著名な建築家の名も挙がる中で、設計を託されたのは日本を代表するモダニズムの建築家、海老原一郎でした。
DIC川村記念美術館
②DIC川村記念美術館|企画展”芸術家たちの南仏”について
概要
南仏は、かつて芸術家が景勝地や巨匠たちの作品を求めてパリからイタリアへ留学や旅行する際などの中継地とみなされていました。しかし19世紀末以降、ヴァンスやニース、マルセイユをはじめ、多くの芸術家たちがその地を制作の場として選んだのです。
地中海や山々に囲まれた豊かな自然、そしてまばゆい光は芸術家たちを惹きつけ、ときには陶芸などその地に根差す伝統的な技法が創作意欲を刺激することもありました。終焉の地として根を下ろした者たちが、壁画や礼拝堂など集大成ともいえる大仕事を手がけたことも知られています。一方で、戦中には敵性外国人として収容された者たちや、港を目指した他国への亡命者が、作品を生み出した場であったことも忘れてはなりません。
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition/
出品作家|ジャン・アルプ、ハンス・ベルメール、ポール・セザンヌ、マルク・シャガール、ソニア・ドローネー、アンドレ・ドラン、ラウル・デュフィ、マックス・エルンスト、フェルナン・レジェ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、ヴォルス ほか
”芸術家たちの南仏”展はコンセプトが伝わりやすく、またモダン・アートが私の好みにマッチした事もあり、心に残る企画展でした。展示作品中、キスリングの作品《風景、パリーニース間の汽車》、が今まで見たことのない雰囲気で楽しげでとても好きです。またアンリ・マティス《待つ》の空気感が心地良くまた見たいなと思いました。
③DIC川村記念美術館|コレクション展示について
コレクションの中から100点ほどを選び、年に数回展示替えを行っているというコレクション展示では17世紀のレンブラント、モネやルノワールら印象派の絵画から、西洋近代美術、20世紀後半のアメリカ美術までをこだわりの設計で展示されたいて、ゆったりと鑑賞できました。
実は、順路はコレクション展示室(常設)からでした。常設と企画が順路で案内されるスタイルが珍しく、初めは常設展示室を企画室なのかと首を傾げながら鑑賞していましたが途中から常設展を先に見てほしいという意図に気がつきました。コレクション展示はいずれも素晴らしい作品でしたが、中でもクロード・モネ作品”睡蓮”がとりわけ印象的でした。著名な作品は多数描かれている場合が多く、中には心を動かされない作品もありますが、DIC川村美術館の”睡蓮”は離れて見た時に描かれた場所の空気をふと感じるような芸術作品だと思いました。
DICという会社への私の思い
さて冒頭で触れたDICという社名について少しお話ししたいと思います。アナログ時代を経験したグラフィックデザイナーは「DIC=色見本」と刷り込まれており、この社名を知らないグラフィックデザイナーはいないであろうと思います。アナログ時代は印刷入稿依頼の際には、版下と一緒に渡す指定原稿というものに細かく印刷に必要な情報を記入し必要に応じDICのカラーチャートから1cmほどを切り取り添付したのです。各グラフィックデザインの会社にはこの見本帳が必ず置いてありズシリとした重量感は今も残っています。

私にとって「DIC=色見本を作る会社」というまことにシンプルな知識しかなかったというお恥ずかしいお話しです。今回この美術館に足を運ぶにあたって調べたところ「DICは印刷インキの製造と販売で創業し」とあり私の知る企業イメージはその頃のものでした。現在は多方面に事業展開しているらしく印刷界の荒波を乗り越え、遥か先に進んでいる様子が訳もなく嬉しかったのでした。
Color & Comfort——DICは印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界トップシェアの化学メーカーです。1908年、印刷インキの製造と販売で創業し、その基礎素材である有機顔料、合成樹脂をベースとして、自動車、家電、食品、住宅などの様々な分野に事業を拡大。現在、世界の60を超える国と地域にグローバルに事業を展開しています。
DICについて
下記はサイトからの流用した資料となります。私がこの見本帳を使っていた頃は真ん中のロゴでした。



DIC川村記念美術館|ギャラリー












DIC川村記念美術館に行った感想は以上です。長い記事となりましたがお楽しみいただけましたら幸いです。
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